ページID:125298更新日:2026年4月2日
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【プロフィール】
団体名:山梨県行政書士協会
会員間のデジタル格差という大きな課題に直面していた、山梨県行政書士協会。
やまなしデジタル×コネクト事業のDXセミナーを受講したことで、DX推進への向き合い方が大きく変わったと語ってくれました。セミナーでは、概念だけで分かりづらかったDXについて、事例紹介等を交えて具体的なイメージを知り、SaaSツール、生成AIについても学びました。
「何から手をつければいいのか分からない」という漠然とした不安をどう乗り越え、組織としての一歩を踏み出すために何が必要なのか。セミナー受講後のインタビューから、多くの団体や企業が抱える課題解決のヒントを探ります。
「FAXと電話で十分」という現状。会員間に広がるデジタル格差という課題
山梨県行政書士協会では、DX推進以前に、会員一人ひとりのデジタル活用スキルに大きな差があることが長年の課題でした。
「使えない人は本当に使わない、というより使う気がない、という状況でした。中にはメールもあまり使いたくないという会員もいて、コミュニケーション手段として、FAXや電話が中心になることも珍しくありませんでした」
このように協会内にはデジタルツールを積極的に活用する会員がいる一方で、従来のやり方で業務が成り立っているため、新しいことを覚える必要性を感じていない層も一定数存在します。
その背景には、「今のやり方でなんとかなっているから、新しいことを覚えるのが面倒」という意識に加え、銀行や警察など、一部の取引先がいまだにFAXでのやりとりを主流としている環境要因も影響していました。「メールとFAXを両方使うのは手間だから、FAXだけで済ませたい」という声もあり、デジタル化への移行を一層難しくしていました。
「会員は300人ほどいますが、ご自身でVRの相談ルームを作って活躍されている先生から、今もFAXと電話がメインという先生まで、本当に天と地ほどの差があります。まずはデジタル活用にこれから取り組む層へ、どうアプローチするかが大きな課題でした」

きっかけは県庁への挨拶。行政との連携から見えたDXへの道筋
多くの団体が「どこに相談すればいいか分からない」と悩む中、同協会がDX推進のきっかけを掴んだのは、意外な場所でした。
「情報収集も兼ねて、県のDX課にご挨拶に伺ったことが直接のきっかけです。私たちは行政書士という職業柄、普段から行政機関との連携を大切にしていました」
県庁を訪問した際、担当者から「やまなしデジタル×コネクト」の取り組みを紹介され、専門家によるセミナーを受講できることを知ります。「これだけ積極的に県が事業を展開しているなら、我々もぜひ活用したい」と、すぐに受講を決めたそうです。
「まさか挨拶に行った先で、このような事業につながるとは思っていませんでした。まず県に相談してみる、という行動が良い結果を生んだのだと感じています」
「ゴールからの逆算」という発想。DXへの視点が180度変わったセミナー体験
セミナーを受講し、最も大きな学びとなったのは「DXへの考え方そのもの」だったと振り返ります。
「受講前は『DXって、一体何から手をつければいいんだろう?』と、漠然とした大きな課題のように感じていました。しかし、セミナーで『完成形をイメージして、そこから遡って今やるべきことを考えましょう』という逆算の思考法を教えていただき、目の前が明るくなるような感覚でした」
闇雲にツールを導入するのではなく、「最終的に自分たちの事務所や協会がどうなっていたいか」というゴールを設定し、そこから具体的なステップを考える。このアプローチによって、DXがより身近で現実的なものに感じられるようになったと言います。
「この考え方があれば、私たちにもできることがある、と前向きに捉えられるようになりました。非常に大きな収穫でした」
多様な会員にどう響かせるか。今後のアプローチの難しさと展望
一方で、個々の事業主の集まりである行政書士協会ならではの難しさも見えてきました。利益や目標を一つにする企業とは異なり、会員一人ひとりの考え方や必要なスキルはさまざまです。
「今回のセミナーは非常に有益でしたが、全員に向けて一つのセミナーを行うだけでは限界があるとも感じました。より習熟度の高い会員向けの内容や、逆にもっと初歩的な内容など、レベルに応じてセミナーを細分化する必要があるかもしれません」
今後は、例えば「デジタル活用入門編」「生成AI活用ステップアップ編」といったように、会員が自分のレベルに合わせて参加できるようなパート分けされた情報提供ができないか、協会内での課題として検討していきたいと語ってくれました。全員を同じ方向に進めるのではなく、それぞれの段階に合わせたサポート体制を築くことが、組織全体の底上げにつながると考えています。

これからデジタルに取り組む方へ:「意識のハードル」を下げ、小さな成功を体験してほしい
最後に、これからDXに取り組もうとしている他の団体や事業者へのメッセージを伺いました。
「一番の障壁は、心理的な『意識のハードル』だと思います。『難しそう』『自分には関係ない』と感じてしまうと、そこで思考が止まってしまう。まずは『やってみたら意外と簡単だった』という小さな成功体験を積み重ねていくことが大切ではないでしょうか」
また、「できると便利」というメリットを伝えるだけでなく、時には「これからはできなければならない」という、ある程度の強制力が変化を促すきっかけになるかもしれない、とも指摘します。
「例えば『確定申告はオンライン申請のみになります』と言われれば、皆やらざるを得ませんよね。もちろん、その一歩を踏み出しやすくするために、私たちのような団体や行政が寄り添ってサポートすることが大切だと思います。本事業のような支援制度をうまく活用して、まずは安心して一歩を踏み出してほしいです」
“伝統や既存のやり方を守ること”と、“新しい技術を取り入れること”は、決して矛盾しません。
山梨県行政書士協会の取り組みは、多様なメンバーで構成される組織が、どのようにして時代に対応していくかという普遍的な課題に対し、大きなヒントを与えてくれます。
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