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ページID:125131更新日:2026年3月27日

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トピックスNo.552
国指定史跡大丸山古墳-その墳形の全貌-

大丸山古墳の概要

 国指定史跡大丸山古墳は、甲府盆地南東部の曽根丘陵内に所在する古墳時代前期(西暦300年前後)に造られた前方後円墳です。大丸山古墳は、甲斐銚子塚古墳や天神山古墳、小平沢古墳などとともに“中道古墳群”と呼ばれ、古墳時代前期甲斐国の首長たちが葬られた墳墓群のうちの一つです。今回は、そのカタチに注目をします。

所在地:山梨県甲府市下向山町

時代:古墳時代前期

過去のトピックス

0391国指定史跡大丸山古墳-雪におおわれた前方後円墳-

0477国指定史跡大丸山古墳-石枕-

これまでの調査

 大丸山古墳は昭和4年(1929)に、地元住民らによって石室が発掘されました。石室内からは貴重な副葬品が多数出土しました。

 その後、昭和44年(1969)に墳丘の測量調査が実施され、昭和46・ 47年(1971・1972)には石室が再調査されました。墳丘自体は発掘調査が及んでいないため、現状地形や下図のような測量図から、墳丘の端部を推定せざるを得ない状況でした。本古墳の測量成果について、『中道町史』では、全長99mから120m規模と想定されています。

既往の測量図
過去の測量図

 古墳の墳丘は大きければ大きいほど、土を盛ったり削ったりする労働力も多くなり、より偉大な人物が葬られたのだろうと想定されています。大丸山古墳をもっともっと評価するために、正確な形や大きさを知ることが長年の課題となっていました。

3Dレーザー測量の実施

 さて、様々な分野での技術革新が進む中、ドローン等を用いて詳細地形を三次元に測るレーザー測量が開発されてきました。この技術は、例えば土砂崩れなどの災害発生後に、人間が立ち入らずとも、どこが崩れたか、どこが危険かを知るためにも使われています。

 令和4年(2022)のある日、W社によって、大丸山古墳の墳丘を、同様の技術を用いて測量することになりました。普段、大丸山古墳は、樹木や茂みに覆われていて、その形を観察することが難しく、一部は私有地となっているため、地上での作業が困難でした。ドローンを用いたレーザー測量は、空中からの作業で完結し、まさにこの古墳の研究上において“救世主”となりました。

古墳の墳丘位置

森の中に位置する大丸山古墳(墳丘南側から)

レーザー測量の結果

測量図
大丸山古墳の三次元測量図

 レーザー測量の成果を解析すると、上図のような赤色立体図を得ることができました。先の実測図に比べて、より、くっきりはっきりした前方後円墳の形をしていることがわかります。

 さて、この測量図の、次の箇所に注目してみましょう。

着目箇所修正
注目される箇所

 Aで示された矢印の箇所には、大きく墳形が崩れてしまっている様子がわかります。大丸山古墳は、丘陵の斜面上に造られているので、大雨などにより土砂崩れが発生したものと思われます。今後の史跡の保存・管理においても、重要なデータを得ることができました。

 また、B~Eは、古墳の墳端部が明瞭にわかる地形の変換点を示しています。古墳の北側くびれ部などでは、当時の姿そのままに、良好に形が残されていることがわかります。

 こうした観察の結果、大丸山古墳本来の形を、次のように想定してみました。

墳丘復元図
大丸山古墳の墳丘復元図

 古墳は2段で築盛されており、1段目は低く、基壇状となっています。1段目と2段目の間には、幅の広いテラス、あるいは緩斜地が伴っていたものと思います。

 この復元案をもとに、古墳の全長を図面上で測定すると、約114mとなります。これまでに言われてきた、99m案や120m案の間を示すような数字を導き出すことができました。

赤色立体図で古墳を探す時代に

 近年、国土地理院や林野庁から提供されている、同様の航空レーザー測量データを利用した地図サイトが話題となっており、誰もが赤色立体図を見ることができる時代になっています。このことにより、各地域において、これまで見つかっていなかった古墳や山城などが、どんどん発見されてきています。山梨県でも事例が増えてくるのでしょうか。期待されるところです。

参考文献 

熊谷晋祐 2024 「大丸山古墳の三次元測量成果について」『研究紀要』40 山梨県埋蔵文化財センター・山梨県立考古博物館

中道町 1975『中道町史』

茂木雅博編 2007 『甲斐大丸山古墳―埋葬施設の調査―』博古研究会

山梨県埋蔵文化財センター 2021 『国指定史跡大丸山古墳―災害復旧工事事業報告書―』山梨県埋蔵文化財センター発掘調査報告第329集 山梨県

 

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